世界一周 一歩目

4月2日土曜日
 
どんよりとした天気。大きく腫れたまぶた。10kgもオーバーした荷物。

この日、世界一周に旅立つ日としては、最悪のコンディションであった。

何も喉を通らず、なのに吐き気がする。何もかもやる気が起きる状態ではない。
 

これはある後遺症だ。
 
「失恋」というものの。

そう、出発前日。僕は3年以上付き合っていた彼女に別れを告げられた。

この内容を文章化する行為自体、非常に女々しいのだが、とにかく「男の旅立ち」とはお世辞にも言えないほど、自信のない表情であった。

あれだけ準備をしていたのにもかかわらず、今からどこかへ逃げ出したい。

 
ここまで精神的に追い込まれたことはない。
それもそのはず、初めての「恋」であった。初めての「失恋」に決まっている。

「孤独」という2文字が僕を襲う。僕の帰る場所は無くなってしまった。
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…そんな重たい足取りで向かうは、成田国際空港

19:45発 フィリピン・セブ(マクタン航空)行き。
 

そして、いきなりトラブル。
フィリピンは入国時に出国の航空券が必要とのこと。

「持ってないわ!笑」

その場で、7月9日セブ→マニラ(乗り換え)→シンガポールのチケットを購入。

 
今考えれば、捨てチケ(使わないが入国するために買う安価なチケット)を買えばよかったなとフィリピン留学で仲良くなった人に教えられた。

 
そう。最初にフィリピン・セブに行く理由は語学学校に通い英語を学ぶためだ。

 
とまぁ、入国のことで焦っていたら、知ってる顔が2人。
 
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プライズで現れた2人に対して
驚きと感動で、何も言葉が出なかった。
 
 
「そうか。俺には“仲間”がいたわ。」
この世の終わりかのような顔も、少し和らいだ。
 

と、同時に持ち前のポジティブさを発揮した。
 
「これで、背負うものはバックパックだけだ。」と。
自分の信じた道を突き進む。これに尽きるのみだ。(ここの判断はご自身で)
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とまぁ、みんなに見送られ日本から西側へ出発した。

次この地を踏むのは、東側から帰ってきた時。

「頑張るぞぉーっ!」

と、決意と寂しさの涙を飛行機の中で延々と流したことは言うまでもない。

 
あっという間でもないが、日本から6時間。

現地時間 23:45フィリピン・セブに到着。

日本との時差は1時間。日本より1時間早いので、お得な感じ。

早速”西回り”の良さが出てきた。
 
…さて、朝までどうしよう。この日、ホテルを取っていなかった。
 
じんわりと汗が滲む中、大荷物を持って、空港をさ迷い続けた。

現地通貨も、Wi-fiもない。初めて来る東南アジア。見知らぬ土地。

カタコトの日本語で話しかけてくる外人。

叩き起こすかのようにうるさいアナウンス。

硬い長椅子に横になり、目を閉じた。
 

こんなに“孤独”を感じた夜はない。
こんなに“家”のありがたみを感じた夜もない。
 
 
しっきりなしに鳴る空港のアナウンス。
それは、スーパーのレジのアナウンスのように音が悪く、うるさかった。
その都度起き、周囲で寝てる人々が入れ替わっていた。
 
8時になり、空港に人が増えてきた頃。さすがに椅子に横になるのはまずいと思い、動くことに。集合時間までまだ4時間もあるのか…なんて思っていた矢先に、「サウスピーク」という文字が。
 

僕が通う語学学校だ。ここでも涙が出るくらい安心した。

なぜ出会ったかは不明だが、そのまま学校に一緒に行くことに。

フィリピンの乗り合いタクシー、トゥクトゥクはとてもファンキーだ。
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色鮮やかなペイントは1台1台違う。
車内で盗難がよく発生するため、僕たち観光客は利用を避けた方がいいらしい。
 
トゥクトゥクからの景色はいわゆる「東南アジア」そのもので、

車が止まると中に物を売りに来る男、

野良犬、ニワトリ、川沿いにはプレハブで出来た住宅地、

バイクでの移動、信号機がないので車ギリギリを横断する人たち。

前日の精神疲労で、カメラを回すことは出来なかったが、その光景には驚きであった。
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空港から40分。サウスピークに到着した。
1番やすい部屋を選んだので、2段ベッドが2つの部屋。大嫌いだった大学の寮と同じだ。
 
 
「いいじゃないか2段ベッド。だって、こんなに柔らかいんだぜ?」
それが、心から言えた初日であった。