最愛の人を守れる人間に〜世界中の男たちへ〜
これはマレーシア・クアラルンプールからハジャイに向かう最中のバス車内の話だ。
バスの中でひと組のカップルと仲良くなった。
実際には、男の方だけ。美男美女のスイス人のカップルだった。
彼は彼女と話すときはドイツ語を話し、
僕と話すときは英語で話した。旅が好きみたいで、南米やオーストラリアの話で盛り上がり、
若くして1人で旅する日本人の僕に強く興味を抱いたようだった。
しばらくして、バス車内のほとんどの人が眠り、僕もそのうち2時間ほど寝た。
次に目が覚めたとき、彼は僕の分からないドイツ語で、今にも眠りそうな彼女を胸に、優しく話し合っていた。
...バスの出発前クアラルンプールにて。
彼女の方は”どのくらい着くのか”が気になってる様子で、分からない彼に少しイラついていた。とてもワガママで美人の赤髪の似合うスイス人だった。
”美人”という生き物は、非常にわがままだ。
しかし、男はそんな美人と付き合っているのなら、当然そのワガママを叶えなければいけない。それがその男の義務だと思う(羨ましい奴めっ!)
そのワガママそうな彼女は、今では(僕の隣の席では)まるで、6歳の少女が自分のバースデーパーティーが終わり興奮冷めやまないまま、しかし疲れて幸せそうに眠るかのように、彼の大きな胸に抱かれて仲良くな話していた。
彼の方は、まるで母が我が子に絵本を読むような声で胸に抱かれた彼女に話していた。
東南アジアを旅をしていて気付くのは、
思っている以上にカップルで旅する白人が多いということ。かなり多い。
”観光地”となる所にはどこにでもいて、その様子を見るたびに「羨ましい。」と目をそらす。
しかしおそらく、仮に僕が彼女(である人)を日本から連れてきて、現段階で旅しても、
今もなお、隣で幸せそうに話すカップルのようには、なれなかったとのだと思う。
男には(女性にとって)、それだけ快適で大きな器が必要だ。
その器がないものには、権利など到底ない。不幸せになるだけだと私は思う。
今はとにかく旅を通して、器を大きくするしかない。どんなハプニングや困難に打ち勝てる優しい男、最愛の人を守れる男になるしかないのだ。
もし、世界を2周目。次は彼女と旅をしたいなら尚更だ。
隣にいる彼のように。