ハングオーバーⅡ〜見ず知らずの外人の家に着いて行く〜
見ず知らずの外国でハングオーバーし、1人で道に迷うこと30分。(ぶっちゃけ記憶ない)
みんなと別れたあと、自分がどこにいるのか、
どこがゲストハウスなのか完璧に分からない。
雨がしとしとと降っていて、夜道は一層に暗く感じた。
フィリピン留学時、スピーチコンテストで優勝した日の夜。確かあの日も、これくらい飲んだっけ。
僕は”テキーラ”に弱いみたいだ。数杯ショットしたら、すぐテンション上がってしまう。
あの夜は、セブシティを上裸で1時間ほど散歩し、モーターサイクルバイクの運転手に絡みまくって、最終的に踏切でリンボーダンス。楽しい夜でした。
...普段はそんなことないんだよ(´・_・`)
ただ、”テキーラ”に弱いだけ。
まぁ僕の酔っ払いタイプは(自分で言うのもなんだけど) ただ ”めんどくさい” だけ(笑)
たまに金曜日の渋谷。終電近くになると、
駅でぶっ倒れて寝てるおっちゃんいるじゃん?
あれ見るとさー、
「どうした?」っていっつも思う。
俺ら大学生が金曜日の夜に騒いで、飲んでって、しても、あぁはならないぜ?笑
どんだけ飲んでんのそれ?
「なーんで持ってんのっ?なーんで持ってんの?」みたいな寒いコールとかしてるわけ?笑
そして、周りのやつ。大学生よりも無責任か。笑(大学生より無責任って相当だよそれ笑)
みんな最後まで看病するよ?ふつう。
相当”闇”を抱えていると思います。都会のサラリーマン。
話をジョージタウンの夜に戻すと、
路頭に迷っている僕の目の前に、1人の謎の男が現れた。
60代後半だろうか。白髪のよく似合う大きな外国人だ。彼も酔っ払っていた。
事情を話すと、「お前は家に帰れない!今夜はウチに泊まれ!」と見ず知らずの酔っ払いに言われた。
普通の日本人なら、タクシーを捕まえて意地でも帰るだろう。でも、僕は彼の名前を聞く前にすっかり彼を信頼していた。
「よし!行くわ!俺の名前はケイ!世界一周してんだ!」(まるで少年漫画の自己紹介)
と、先に自己紹介し、話しながら歩いた。
彼の名はパトリックという。
アメリカのボストンに住んでいたそうで、
今は芸術の街、”ジョージタウン”でアートの勉強をしている。アーティストだ。
雨が強くなってきて、足早に彼の家に向かうと、そこにはたくさんの絵が。
アートが好きな僕は入った瞬間から、目をキラキラさせながら、そこにある絵を眺めていた。
すると後ろの方で、
「ガチャン」と大きな鎖の鍵が硬く閉められる音が聞こえた。
「まさかね...」なんて少し不安が過ぎり、史上最悪の映画”ムカデ人間”を思い出した。あのクソ映画は一生見たくない。
2階にあがり、不安が強くなってきたので、僕はパトリックと話し続けた。
僕は強く言った。
「マジでゲイじゃねぇーんだよなァ!!?」
「もし俺の体を指一本でも触れてみろ!お前をぶっ殺して、明日タイに逃げてやるからなァーーッ!!!」
「...ねぇ、本当お願い。俺は世界中みんなを信じたいから、変なことしないで。(最後はめっちゃ弱気)」
するとパトリック。
「あぁ分かってる。俺はよく女を連れ込むが、男はケイが初めてだ。安心しろ。俺は悪い人じゃない。むしろ、お前は悪い奴じゃないよな?」
みたいな感じで会話をして、そこには少しの”信頼”が出来上がった。部屋が少しだけ明るくなった。
酔っ払い2人が会話をし終え、先シャワー浴びるよと服を脱ぐと、なんかパトリックめっちゃこっち見てる。
さっきまで、自分はゲイじゃないとあれほど言っていたパトリックと目が合い、
「何見てんの?ゲイなの?ねぇ、ゲイなの?パトリックもしかして、ゲイなの?」と、
ふざけて60代後半の男性をイジっていると、
「...あぁ!実は俺はゲイなんだ!!!」
と股間を大きくさせたパトリックが叫んだ。
俺が服を脱いでる姿を見て、股間を大きくさせたパトリック。隠せずに白状していた。なんのコメントも出てこん。
「でも俺は神に誓って、ケイの体には触れん!」
と言って、先にシャワーを浴びに行った。
”神に誓う”この言葉、クアラルンプールでも聞いたんだよな。頼むぞ。俺はこれ以上、地獄に落ちていく奴を見たくないからな。と、思ったあとに、
一生懸命ゲイを隠したあげく、白状したパトリックにじわじわきていた(笑)
アーティストにはゲイが多いという話をどこかで聞いたことがあるが、それはどうやら本当みたいだ。
その日は、パトリックとひとつのベッドで、
マジで何もなく寝た。
「どうして、ゲイなのに女の人を連れ込むの?」みたいな質問の回答を聞いているうちに、僕は寝てしまった。
次の日の朝、パトリックは「ここからまっすぐ行くとケイの宿だよ」というポイントまで僕を連れてってくれた。
マジで何もない夜だった。
もう一度言う。マジで何もない夜だった。