ハングオーバーⅡ後編〜人と人との巡り合わせ〜
数日が過ぎ、ジョージタウン最終日前夜。
タイ・ハジャイ(ハートヤイ空港)に行くチケットを購入し、出発は翌日12:00とのこと。
「ついにタイかぁ〜」そう意気込んでいるとき、再び雨が降り出した。
その時、僕は折り畳み傘をなくしたことに気が付いた。
日本から持ってきたしっかりした折り畳み傘。
雨季に入りかけている東南アジアを旅する僕の、必需品だ。
最後の雨...最後の雨...
パトリックとの夜か!!!(マジで何もない日の夜)
そう思い出し、やっちまったなーと自分を情けなく思った。
今夜はもう遅いから、明日の朝早起きして探しに行くか。
と、その日の夜はドミトリーを出なかった。
このドミトリー、1泊25リンギット(625円)
1部屋30人くらいいるが、完璧個室で、涼しいし、調子がいい。
問題といえば、共有スペースの天井にツバメの巣があって、夜はちゅんちゅんうるさいこと。
フィリピンにいた頃、ニワトリの鳴き声や、学校の隣に住むバカ犬、夜になるとしっきりなしに鳴く謎の”ケッコウ!”の鳴き声に慣れていたので、特に問題はなかった(強くなったなぁ〜おれな。)
この日の夜、日本から素晴らしい便りを頂き、嬉しくて嬉しくて、眠れなかった。興奮を抑えようと一晩中、アルケミストを読んでいた。
次の日の朝一で、パトリックの家を探しに行ったが、「ここをまっすぐ行ったらケイの宿だよ」からの記憶がない。
そりゃそうだ。あの日も二日酔いだったし、パトリックの家に行った日ももちろん泥酔していた。
「なにか、なにか、ひとつでも手がかりないかな」
スマホの写真や、記憶を思い出していた。
小さな街”.ジョージタウン”といえど、何万人って人が住んでいる。その中で、ひとりのゲイのアーティストを探すのは一苦労だ。
そうこうしてるうちに1時間ほど経ち、ある手がかりを思い出した。
「ウォールアート」だ。
この街に無数にある印象的なウォールアート。これを手がかりに探すことに。
「うーん、このウォールアート見たなぁ〜じゃあ、こっちか...ん!?このセブンで水買ったぞ!!!」
みたいな(笑)
”ハングオーバー”という酒を飲みすぎて記憶を飛ばして、翌日 何が起きたか思い出していく映画があったが、
まさにそれだ(笑)
しかも、僕の出発は12:00 タイムリミット付き。まさに映画「ハングオーバー」だ。
数時間が経ち、同じウォールアートをぐるぐるし始めた。たしか、ホンダがあって、パトリックと日本の技術の話をした気がする...。
みたいなことを思い出して、何人ものアーティストにパトリックを知ってるか聞いて回った。
「Excuse me... Now I'm looking for a American guy who is a artist. Name is パトリック」みたいな感じで、人を探したのは人生初だ。笑
みんな知らん。当たり前だ。この街に何百人ってアーティストが住んでいる。
旅をしていて思うことは、
「出会う人とは、出会う。
出会わない人とは、出会わない。」
ということ。当たり前で、一見「?」と思うだろうが、この意味が分かったとき”運命”というものを信じたくなる。
「出会う人とは、出会う。」
”出会い”には”意味”が存在すると最近強く思っている。
すべての出来事は、自分のために起こる現象。
自分の人生を良くするために起こる。
「そうか。これで良かったんだ。」
そう思える日がきっと来る。
起こること全てに意味がある。
そんな独り言を言ってるうちに、
「ん?ホンダ!!この辺だ!!!」
あったー!!!
やはり「出会う人とは、出会う」わけだ。
インターフォンもないので、家の前で大きな声で「Hello! Hello!!」と叫んでいると、
今起きたばかりのパトリックが驚きながら、階段を降りてきた。
事情を話して、家に上げてもらうことに。
傘を探しに来ただけってのは、悲しいので別れの挨拶もしに来たよと話して、パトリックと一杯のコーヒーを飲んだ。
結局、傘はパトリックの家になかった(ショック)