拝啓、インドとある丘に登った日より。

インド。
とある丘に登った日。

その夕日はこの旅で1番美しく、
果てしない彼方を指しているようだった。
遠くの方にメヘランガル砦が観える。


あまりにも壮大で言葉にできず、
僕はただただ”その風”を感じる他なかった。
あの雑音だらけの活気立つインドもこの時ばかりは、自然の堂々とする姿に叶うことはできなかった。


その日最後の日の光が、
ジョードプルを照らし、人々を明日へと誘う。


僕はこの日の夕日の美しさを、風が肌に当たる感触を、岩の暖かさを、永遠に忘れることはないだろう。


日の光が、僕の心の中にある
もやもやを少しずつ剥がしていった。


「生きている」


この自然が教えてくれる感動は、いつも僕にその大いなる魂を伝えてくれる。


少しだけ「人生」について考えた。
結局 人間というのは、自分の運命よりも、他人にどう思われるかを選択してしまう生き物なのだろうか。


世界にはまだまだキミが知らない世界が眠っている。
そう、少しばかり強い風が僕に教えてくれた。

一生見ていられる景色ってあるんだな。
それくらい僕はこの丘から見える夕日に惚れ込んだ。


9月。インドでもトンボがよく目立ち、日本を離れ5ヶ月が過ぎた頃。