「金」はいるけど、重要じゃない!〜父と旅するカリビアンクルーズ・親子旅III〜
「カリブ海をさ〜船で旅したら、
”パイレーツオブカリビアン”みたいで
かっこよくない?」
そんな一言から、ニューヨークを後にした僕と父はマイアミから、中南米バハマを目指すことに。
「目指すことに」という言い方はまるで
”旅”のようだが、そんな良いもんじゃない。
これは「観光」だ。いや完全な「休暇」かな?
というのも、マイアミからは
「豪華客船で行く!」というコピーがお似合いの巨大クルーズの中で3泊4日 生活をする。
父が年越しのニューヨークから、
マイアミ→バハマに行きたいという話は
年末、姉とヨーロッパを駆け巡っていたときに始まった。
いくら以内で、どこに行きたくて、何日滞在できて、何がしたいか(箇条書き)
この4項目を僕に送れば、
どこの旅行会社よりも安く、おもしろく、四六時中 英語が喋れ、荷物が運べてるガイド付き。
フィリピンで味をしめたのか、今回の要求は少し難易度が高かったが、なんとかクリア。
とにかくヨーロッパに居た頃は、姉のサポート、クラウドファンディングの内容、ライターの記事に、同時にツアー会社のようなことをしてたから本当に大変だった。笑
でもこのめまぐるしく忙しい感じがあるから、
”夕日を眺めること”の幸せを感じれる僕はやっぱり東京出身なのだろう。
同時にいろんなことをマメにする。
これは世界一周の資金を貯めてた頃、部活に、バイトに、インターンに、ゼミに、恋愛にと、あの頃を思い出す。
「同時進行で色んなことに手を出す」
うちの家系はきっと得意なんだろうな。
そーゆーこと。
とにかく「世界1安上がりのツアーガイド」を持った父は今とにかく楽しそうだ。笑
僕も美味しいご飯と、ふかふかのベッドで寝るからWinwinなのだが。この旅人ツールを生かして、僕も旅が出来るシステムを作り上げたいな。身内だけだけど!
今は逆に「お姉ちゃんタイバックパッカーデビュー」を交渉しているところだ。笑
「旅」から学ぶものは本当に多い。
それは決して、誰からも教えてもらえることではない。しかし、感じられる奴は感じられる。
人生において、本当に大切なことは、
「自分で感じること」だ。
いくら僕が、こういう風に文章にして、
誰かに伝えたって、感じることには到底敵わない。
さて話は船の上に。
うわー!でけぇー!!
セキュリティチェックも厳重で、お客さんの層もどいつもこいつも金持ちそうな人ばかり。
バックパックを背負ってるのは僕だけだった。
最後に船に乗ったのは...
あれだ。ヨルダンのアカバから、エジプトのヌエバまで。シナイ半島付近、海賊がまだいるあたりの海を渡って、国境を越えてきたっけ。
僕が思うに、若いうちは めちゃくちゃな旅をしても良いと思う。もちろん死なない程度に。
やはり印象的なのは、プリンスホテルに泊まるよりも一泊500円のドミトリーだったりする。
でも、歳をとるにつれて やはりこういう”無茶”は出来なくなる。「勢い」がなくなってしまう。
だから、僕の父も直行便がある場所にしか行かないし、目を離すとすぐビジネスクラスだ。
ということを考えると、
今ぼくかこの旅で出会ってきた全ての人々は、
僕にとって 非常にマッチングした人たちだ。
誰もビジネスクラスもいないし、スイートルームもいない。「金銭感覚」という面だけでなく、世界を旅してる。とか、経験主義。とか。
だから旅のスタイルは「今の自分」なんだよ。
出会う人から、食べるもの、感じることまで、
まるっきり違っていて、
そう考えると「旅」は、「今の自分」を写してくれる”映し鏡”のように思えるでしょ。
”映し鏡”...つまり、自分自身を見つめなおせる。
だから旅は「自分探し」が出来る。
自分は何者で、なにが出来て、どこへ向かうのか。
どうりでこれだけ、 自分を客観視することが出来るわけだ。
常に「自分」を見ているのだから。
船の上はとても優雅だった。
好きな時に、好きなだけ、食べ物、飲み物が飲める。もう永久に飲んでたって言い訳で、飲兵衛の父と一緒に本当に飲み続けた。
夜には、船でなくてもほっぺたが落ちるようなステーキに、シーフード、ビュッフェがずらり。
食事の最中に突然 歌い出すコックさんやら、ボーイやら...
これじゃあ、パイレーツオブカリビアンじゃなくて、タイタニックだ。
客層は基本ファミリー。
なんかのお祝いで乗っているようで、金持ちそうな中国人はちらほら見たが、日本人は僕ら親子だけ。
地味に多かったのは、インド人。
でも僕が見たことがないタイプの超金持ちのインド人たち。そんなお客さんがいるからヒンディー語の話せるボーイもよく見かける。
そんなボーイだって、出身はゴアだったり、裕福層なんだろうなって思う。
僕がインドを訪れた時は、
みんなガリガリで、貧困に喘いでいたり、信仰心が強くて。
でも、この船の上で見るインド人は、みんな丸々太っていて、牛のステーキを頬張り、「貧乏な人のことなんて、私たち知らないわ。関係ないもの。」と今にも言いそうなお金持ちファミリーばかりだった。日本の人口の10倍のインド。ファミリーと言っても、人組15人はいたかな。とにかくすごかった。
とにかく、金持ちの子供達は行儀が悪かった。
どうしてこうも、生まれ持ってお金があると、人間性が欠けてしまうのだろう。
アメリカでもそうだ。ネイティヴの友達曰く、
金持ちの子供達は毎月仕送りに何百万ももらえるシステムがあるらしく、みんなドラックに走って 施設の入退院を繰り返してる。
アラビックのオイルマネーの大金持ちもそう。
英語を学びに海外に留学すると、すごいみたい。先生が止めたって、机の上で踊り始めちゃう子とか(理由は踊りたいから)、
ムスリムの宗教上、不純性行為は禁止されてるのに、とにかく外に来ると遊びまくる。
友達が「それ、お前の国じゃやっちゃいけないんじゃないの?」と聞くと、
アラビックは「だからだよ!」と答えたそうだ。
なんとも、「宗教」とは「信仰心」とは他人のためにやっているものなのか、周りがしているからしているのか、価値観なのか、無宗教の僕はなんだかよく分からなくなってきた。
僕が小中通っていた学校も、”親のすねかじり虫”は学年にごろごろいる。
僕もおそらく、世間からそう思われるかもしれない。たしかにウチは裕福じゃないっていけば嘘になる。
高校の頃は、監督にそのことでよく突かれたが、僕が生まれたくて生まれた場所じゃない。たまたま”そういう家庭”に生まれただけで、僕に選ぶ権利はなかった。
ただ自分が、そこら辺のお坊ちゃんと違うところは、おそらく色んな世界を見て、色んな人と関わってきたからだと思う。
小中と箱に閉じ込められていた私立を抜け、ドが付く田舎の公立の高校へ行った経験がデカく。
今までいた環境は、おかしかったことに気付いた。
そしてこうも思った。
「お金を使うこと」は子供でも出来る。でも「作り出すこと」はできない。って発想からビジネスに興味を持ったり、
「バイタリティのない金持ちは、ヤバイ」ってことに気付かされたりしたからだと思う。
だって、なんの努力もせずとも、
勝手に必要なものがなんでも手に入るのだ。
身の回りのことがなんでもスムーズに進むのは、ある種 楽で良いかもしれないが、いつまでも赤ん坊のまんまってことだ。
そう。これも自分がそうだったから知っている。やはり旅は”映し鏡”。自分を見つめ直すとんでもない機会だ。
後は、やはりこの人の影響。
良い意味でも、悪い意味でも、
「個人主義」を掲げる父。
「お前の人生だ」って言葉は、優しくも、冷たくも聞こえるだろう。彼はすごく個人主義で、
姉が生まれた時の第一声は、
「親がいなくとも子は育つ」だったそう。
たしかに、俺ら姉弟は一定を境に自立した考えがあるけど(でもやはり、姉よりは甘ちゃんに育てられた僕の方が甘い)
まぁでも、いま自分の発言を多くの人が耳を傾けてくれる1要因に、
「自分の稼いだ金で旅をしている」というものがあると思う。
たしかにフィリピン留学のお金は借りたが、あとはなんとかやりくりしてる。
お金がないからこそ、ライターをしたり、カメラマンをしたり、クラウドファンディングをしたり色々してる。
父はどこまでのことを読んで、息子に旅をさせたのか分からない。自分のお金で生かせる意味とか、発信し続けることで生まれた価値とか。
経営者から見てのアドバイスだったのか、
父親から見てからのアドバイスだったのか、
それは分からないが、色んな偶然が生まれて、今の自分の存在意義がある。
もしかしたら、ただの偶然だったのかも。
でもそう考えると、ある種「手放していた」教育さえも、間違いではないのかもしれない。
自分が親になったら、
「手を加えないこと」「子離れ」さえも教育のひとつだと思い出したい。
「なんでも教えてあげること」「なんでもやってあげること」だけが教育ではないのだろう。
色んな”偶然”が重なって、今の自分が育ったと考えると、ある種「教育」に間違いはないのかもしれない。
話を「教育」から「お金」の話に戻すと、
ドラックに走る2台目にしろ、
とにかく親の金を使いまくってる同世代にしろ、
せっかく「可能性」を持っているなら、
あとは”バイタリティー”。どうにかして、自分で何かを”掴まない”と、俺ら2台目は、一生 オマケ扱いだ。
特に男に生まれたんなら、育ててくれた親を色んな面で超えてこそ、”次世代”だ。
お金は確かにいる。それは間違いない。
だけど「重要」ではない。そこが本質だ。
感謝すべきは俺が越えるべき壁はいつも身内にいる。色んな面で越えるべき壁だ。
さてさて、今回 利用した”カリビアンクルーズ”は本当に「すごい」の一言だ。
ルーフトップには、プールもバーも、ジャクジーも付いていて、夜はこの大きな液晶画面でカクテル片手に映画を堪能。
ジムもあったり、ロッククライミングも出来ちゃうこの船。
イベントも満載で、ダンスパーティーも突然始まる。こういう中でワァーって思って、盛り上げて、楽しめるようになったのも、この旅に出て変わった僕の一部だ。
いくら頭がキレても、お金を持っていても、仕事がよく出来ても、人生の楽しみ方を知らない奴は寂しい奴だ。
なんとも、元ツッパリの彼らしい名言だ。
でも実は社会統計を見ても、元ヤンや不良、王道ヒーロー(バリバリの高学歴)よりも外道ヒーロー(アウェイなことしてる)人の方が、
社長さんが多いのは、「気合が入ってる」からという理由の他にも「周囲の目を気にしない」だったり、「人と違う道も走れちゃう」ところに理由があるのかも知らない。
父とカクテル片手に船上で語る、
「男の生き方」はとても面白い。